29)
きゃりーぱみゅぱみゅが大人気である。
近頃の報道では、世紀のポップアイコンになぞらえて「和製レディ・ガガ」など呼ばれさえする。いくらなんでもそれは贔屓の引き倒しというものだ。聖徳太子をその名前だけでイエスになぞらえるくらいに無理がある。
大きな特徴とされるのは「奇抜なファッション」であるが、あれも原宿を歩いてみれば同様な少女たちは多く見受けられる。
それは彼女がシーンに登場する以前からそうだった。無論、テレビで大々的に取り上げられる以前から青文字系ファッションのアイコンではあったが、彼女が原宿で独自の世界観を形成したというよりかは、原宿が彼女を醸成していったという趣きのほうが強いのではないかと思う。

とはいえ、きゃりーぱみゅぱみゅはアイコンである。そしてアイドルである。なによりも、エクソダスである。

モーゼによる出エジプトは、人民の肉体的精神的な解放だった。
当時のユダヤ人ほど現代の我々は虐げられてはいない。
だが、価値観が多様化していると言われながらもそれが様々な制約によって発揮できない息苦しさは確かにある。
きゃりーぱみゅぱみゅは、そこで足掻く人々にとっては、そんな制約を取り払った存在に映っているのではないか。

彼女の人気の正体、それは「私にはそこまでできない」という諦観―達観ではなく―と、「ああなってみたいかもしれない、来世にでも」というガス状の羨望が交差することによって生まれているのだろう。

きゃりーぱみゅぱみゅは我が道を行く、モーゼのように閉塞という海を割って解放というカナンへ。
だが、それはおそらく孤独な道だ。
なぜなら、ほとんどの人間は彼女に続かないからである。
続けないのではなく続かないのだと自分に言い聞かせながら、回れ右をして「普通」という抑圧に身を委ねるに違いないのだ、所詮我々は。

もしもし原宿(初回限定フォトブック仕様)
もしもし原宿(初回限定フォトブック仕様)
クチコミを見る


Oh! My God!! 原宿ガール
Oh! My God!! 原宿ガール
クチコミを見る

関連記事