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ポーラ美術館企画展「Modern Beauty - フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代」のプレスデーにご招待いただき、箱根の森へと行ってきました。
「女性の美」に焦点を当てたこの展覧会は、ポーラ美術振興財団設立20周年を記念して開催されたもの。
ポーラと言えば化粧品というイメージですから、まさに十八番といったジャンルでしょうか。
個人的にもアンティークなファッションは大好きですし、19~20世紀の絵画を中心して女性たちのファッションや化粧がどう描かれてきたかを検証した内容は興味深いものでした。

「Modern Beauty」展の概要


会期:2016年3月19日(土)〜 9月4日(日)
出品点数:212点
特設サイト:Modern Beauty展 | ポーラ美術館

「Modern Beauty」展を画像と共に


今回はポーラ美術館様のご厚意により、著作権に配慮したうえで展示品の写真撮影をOKとしていただきました。

「Modern Beauty」展では19~20世紀の絵画、化粧道具、そしてドレスが展示されており、ファッションの変遷と社会の動きを見せる内容となっています。
我々には、この展示会を担当された学芸課長岩崎余帆子(いわさき・よおこ)さんによる解説付きという豪華なツアーとなりました。
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入り口ではSNSにアップするための写真撮影ブースが設置されています。
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フランスの詩人であるボードレールは、美術評論家として強い影響力を持っており、彼抜きに美の近代は語れないんだそう。
1863年に発表した『現代生活の画家』というエッセイの中で、彼はどう時代の美を描くことを推奨しました。
たとえばコンスタンタン・ギースといった画家は同時代の風俗を描き、ボードレールによって評価されています。
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そんな時代のドレスを、絵画をもとに文化学園服飾博物館とコラボして再現。
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こちらはクリノリンドレスと呼ばれるもので、スカートに入った大きな枠が特徴。
フランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウジェニーによって流行したんだとか。
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当時のファッション・リーダーは王族や貴族でした。
それがブルジョワや高級娼婦へと移行していったわけですが、19世紀半ばになるとプレタポルテが市民にも手が届くようになると、様相が変わります。
ファッションのトレンドを「ファッションボード」という版画が伝えるようになります。
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パリやロンドン、ウィーンなどでほぼ同時にファッション情報が伝わっていたそうです。
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あのファッション誌『ヴォーグ』も誕生しています。
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この展示会のメインビジュアルであるエドゥアール・マネ作「ベンチにて」。
ジャンヌ・ド・マルシーという女優であり高級娼婦である女性を描いたもので、衣装は、ファッションに造詣の深いマネ自身が選んでいたそうです。
帽子は「マダム・ビロ」なる帽子屋で買ったのではと推測されているのだとか。
モデルに着せる衣装まで購入していたというマネの姿に、美への追求心が垣間見えます。
特徴的なのは、油彩で描くところをパステルで描いているということ。
キャンバス地にはノリが悪いにもかからずパステルを使ったのは、肌の質感、なめらかさ、キメの細かさを表現できるから。油絵だとニスが塗られツルツルした質感になってしまいますからね。
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あのルノワールは、特にドレスにこだわりました。
父が仕立屋、母はお針子という家庭に生まれたのですから自然なことだったのかもしれません。
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ルノワールは、別々の作品で同じドレスが衣装とされていることから手持ちのドレスをモデルの着せていたことがわかっており、帽子に至っては自分で作ったのだそう。
ちなみにこの時の流行は、「バッスルスタイル」という後ろに極端なボリュームを持たせたもの。
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こちらは1900年初頭、アール・ヌーヴォーの衣裳部屋、化粧部屋を再現したもの。
当時の女性は時間帯によってドレスを着替えており、これはティーガウンというくつろぐためのドレスとなります。
これを作ったのは、オートクチュールの創始者といわれるイギリス人デザイナーのシャルル・フレデリック・ウォルト。
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化粧道具は今と変わらないように見えますが、手袋をはめやすくするグラブストレッチャーと呼ばれるものだったり、前髪をカールさせるためのコテなどがありました。
アルコールランプで熱したコテを巻きつけていたので、とても髪に悪そう。
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当時、すでに出先で化粧直しするための旅行用の化粧箱がありました。
トランクケースくらいのサイズにびっしりと化粧道具が入っています。
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19世紀半ばには、入浴が日常化。
上下水道が整備され、お金持ちの家には浴室が整備されていたそうです。
しかし一般市民にはまだまだだったそうで、タライなどを使った沐浴を行っていました。
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当時使われていた風呂桶も展示されています。
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コルセットをきつく締めたS字ラインのドレスはアール・ヌーヴォーの時期に大流行しましたが、動きにくく、健康に良くないので解放される流れにありました。
乗馬やテニス、ボートといったスポーツや旅行の流行が動きやすいドレスを求めたのです。
しかし、女性をコルセットから解放した決定的な出来事が第1次世界大戦であったことは皮肉だったといえるでしょう。
キスリングの「ファルコネッティ嬢」は、デコルテが大きく開きゆったりした解放的なドレスを描いています。
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そして、時代はアールデコへ。
ドレスはゆったりとしたものになり、現代のものと比較しても普段着と見紛うほどのリラックススタイル。
実はこれまで様々なドレスを着たマネキンは当時のグラマラスな肢体を表現するための特注であり、このドレスを着たマネキンは汎用のものなんだそう。
女性の肉体の変化、というのも「美の表現」に大きな影響を与えていたようです。
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学芸課長岩崎さんのお話を元に展示会をご紹介しましたが、もちろん他にも様々な展示物があり、特に意匠を凝らした化粧道具や香水瓶、扇子、アクセサリーは必見。
ぜひとも、直接ポーラ美術館にてご覧ください!
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